情報格差を悪用しない

 サービスを提供する者とサービスを受ける者とでは当然に情報量の格差がある。

 その格差を、決して悪用してはならない。

 例えば、車の販売を考えてみよう。

 Aというお客様の希望を伺うと、どうやらX会社の車の性能の方が希望に沿った製品がある。しかし、Aさんが来店しているのはY会社だったとする。

 さて、Y会社は、どのようにAさんにアプローチをするか。

 もちろん、「X会社の車の方がAさんのご希望に沿っています」と言えばAさんにとっては良いかもしれないが、Y会社の営業マンとしては疑問が残る。

 それでは、「Aさんのご希望に沿った車はこちらです。Aさんのご希望である〇〇という性能は、現在含まれておりません」と、情報を遮断してしまうのはどうだろうか。

 お客様に選択の隙を与えず、とにかくY会社の車を買ってほしいという気持ちが先行した営業はお客様の利益を追求したサービスとは言えない。

 お客様の情報量が少ないことを悪用して嘘はついてないけど本当のことも言わないサービスは、本質的にサービス業の仕事とは言えない。

「Aさんのご希望である〇〇という性能は、現在Y会社の車には含まれておりません。ですが、Y会社の車には◇◇という性能が搭載されておりますがいかがでしょうか?」

 実は他社にAさんの希望車種があることまでは公言しないが、代替案を出してお客様に選択肢を与えるのは一つの手法だ。

 それで、お客様がやはり納得いかなければ今回は成約までは至らなかったというだけだ。

 最終的な選択を与える余白をお客様に与えることが心地よいサービスに繋がる。

 決してやってはいけないことは、お客様に情報を与えず、選択の余地を与えないことだ。

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