「措置から契約」に福祉業界は大転換を果たして、20年以上が経っている。
誰もが安心して利用できるように、ご利用者様のニーズに合わせた福祉が展開される。
その中で、もちろんご利用者様の選択が重要になってくる。
ご利用者様が受けたいと思えるサービスを選択できる体制が整っていなければならない。
しかし、福祉が行政処分としての措置ではなく、事業者とご利用者様が対等な関係性の中で交わされるはずの契約制度が20年以上経った今でも、実現しているとは到底言えない現状だ。
なぜそのような事態になっているのか?
これは、いわば「明治維新」的な大変革に福祉の現場が適応できなかった結果と言える。
明治維新は、それまでの生活様式が大転換した時代であった。
福祉においても、「措置から契約」というのは、そのくらい制度としても意識としても大転換が求められたのだ。
しかし、その大転換についていけず、未だに措置の時代を引きずっている世代が福祉の現場で幅を利かせている。
なぜなら、そのような世代が現在ベテランとして現場で君臨してしまっているからだ。
しかも、始末の悪いことに、その世代が人材育成をしてしまっているがゆえに、現在の若手福祉職員にも、措置の時代の雰囲気が脈々と受け継がれてしまっている。
まさしく“負の連鎖”だ。
措置の時代の悪しき雰囲気とは、
ご利用者様の「面倒を見る」
という感覚だ。
必要に迫られて福祉を利用するご利用者様に対して、福祉職員がいなければ生活できないという関係性の中でご利用者様を捉えている。
この雰囲気を排除しない限り、そのような旧態依然の福祉事業所に未来はない。
なぜなら、ご利用者様を見下すような感覚の現場では、到底ご利用者様に選ばれるはずがないからである。