虐待防止を考える時に、ご利用者様の「権利」を護るということが論点となる。
この「権利」という言葉の意味をどれだけの人が理解しているだろうか?
ご利用者様の「権利」は一体誰が護ることができるだろうか?
「権利」というのはRightsを日本語に訳したもので、本来の意味は「正しい」ということを指すとされている。
それでは、一体どれだけの人がご利用者様にとっての「正しさ」を理解できるだろうか?
「正しい」というのは、一人一人違った価値観をもつものだ。
万人に共通の理解を得られるものではない。
それでは、そんな不明瞭なものをどうやって護ることができるだろうか?
ましてや護るのは自分自身ではなくご利用者様という他人である。
「ご利用者様の権利を擁護する」という言葉の本来の理解はそのくらい曖昧なものなのだ。
つまり、一人一人違った価値観を持ち込めるもので、ご利用者様を護ろうとしているのが、福祉業界の現状なのだ。
そんな曖昧な概念を持ち出してそれを根拠に虐待防止を考えるのは非常に危険である。
何かよくわからない難しい言葉で問題を曖昧にしてしまいかねない。
虐待防止は、「権利擁護」という視点ではなく、サービス業としての視点で考えた方が分かりやすい。