インフラとしての福祉からサービス業としての福祉へという歴史的な変遷があったのは、今から20年ほど前のことである。
高齢者福祉分野でも障害者福祉分野でも「措置から契約」という制度移行に伴い、福祉は、全ての人に安心安全快適を提供するサービス業として転換が図られた。
それは、高齢化や医療の発達とともに、社会的なニーズが増したことや、行政では福祉をカバーしきれなくなったことによる。
そのことが、福祉サービスの質を高めるサービス業として成立させる根拠となったのだ。
しかし、肝心の福祉現場で、サービス業としての心構えが全く育っていない。
今までの働き方からの大転換に多くのベテランスタッフが対応しきれていない。
さらには、そのベテランスタッフから育成されたスタッフが、その旨味を受け継いで、相変わらず福祉をサービス業として成り立たせることに抵抗感を示している。
まさしく負の連鎖が生じているのだ。
なぜ、福祉事業所で虐待がなくならないのかという疑問は、実は、歴史的な流れの中からも説明ができることである。
そこを断ち切り、新しい福祉をつくっていかなければならない。