福祉は成長安定産業と言われる中で、新規参入は今後ますます増える。
ご利用者様のニーズは今後さらに増えるし、それに応じたサービスを展開していくことで、社会貢献にもつながる。
ただ、福祉への新規参入をする上で、気をつけたいことは、
「ご利用者様目線」
これを欠かさないことだ。
「そんなこと当たり前だ」
そう思うかもしれないが、福祉の現場でこの見方を徹底させるのは、実はかなり難しい。
制度面では、福祉は、主に介護保険や年金などによって加算点数で収益を得ており、直接100%ご利用者様から費用を受け取るわけではないため、安定して事業収益を得られる仕組みになっている。
その中で、福祉事業所は、ご利用者様の確保さえできていれば、サービスの質をそこまで考慮しなくても、ある程度は回せてしまうのだ。
福祉人材の不足などから、まだまだ供給が需要に追い付いていない現状のため、ご利用者様は、自由にサービスの質を求めて事業所を選択できる環境にはまだまだ整っていない。
このような状況のため、福祉の現場では、ついつい
「ご利用者様目線」
が失われてくるのだ。
また、「ご利用者様目線」と言っても、実際のご利用者様の障がいや疾病、生活歴、嗜好などを理解しておかなければ、全く的はずれな支援になってしまう。
「ご利用者様目線」と言いながら、実態は「職員目線」でしかなかったということになりやすいのである。
本当の意味で「サービス業思考」のある会社であれば、福祉への新規参入は大成功となるだろうが、そうでなければ福祉への新規参入は容易ではないのだ。
裏を返せば、福祉への新規参入に成功する会社は、「ご利用者様目線」「サービス業思考」の備わった優良企業として再評価を受け、新たなブランディングに繋がる。
“福祉を制する者はビジネスを制する”