福祉施設におけるチェックリストの弊害

 職場でチェックリストをつかって、今自分がどこまで業務がこなせられているかを確認する方法がある。

 しかし、チェックリストは、あくまで自分自身による評価なので、どうしてもチェックが甘くなってしまう。

「この項目はもうできてるから大丈夫」

「もう自分は大丈夫だからいいだろう・・・」

 車の運転と同じで

~だろう運転

は禁物だ。

~かもしれない運転

の考え方で、常にリスクと向き合わなければならない。

 チェックリストは、むしろ

~だろう運転

に心理的に導いてしまっている。

 なぜなら、自己点検は、どうしても甘くなりがちだからだ。

 また、チェックリストを用いて指導する職員がアドバイスしたところで、その中身に

“鮮度感”

がない。

 指導すべき時に直接声を掛け合うほうが、互いにとってメリットだ。

 指導を受ける側は、内容がピンポイントに入っていきやすいし、チェックリストを書く手間もない。

 指導をする側にとっても、その場で伝えればそれで指導は達成されているから、わざわざチェックリストを確認する手間もない。

 チェックリストを記入するだけ時間の無駄だし、それを確認するのも大いにタイムロスだ。

 職員の育成をチェックリストに頼ると、むしろ弊害が大きい。

 自己チェックは甘いし、周りの職員もみんなで互いを高め合う雰囲気がつくられなくなる。

 なぜなら、チェックリストによって、職員教育ができているという

錯覚

に陥るからだ。

 職員どおしが常日頃から互いに声掛けをし合えていれば、わざわざペーパーによるチェックは不必要だし、面倒な手法だ。

 職員どおしが改善を意識し合える職場環境をつくることが大事だ。

 ペーパーによる評価方法・育成方法は、さながら義務教育の手法だ。

 それゆえ馴染み深いために取り入れることに戸惑いはないかもしれないが、実際取り入れたら、その面倒くささを感じることになる。さらには意味もない。

 仕事に

100点満点

などあり得ない。

 チェックリストは、まるで

「お母さん!100点とれたよ!」

と言う子どもに母親が

「すごいわね!」

と褒めてくれるといった仕事をする上で全く意味のないコミュニケーションしか生まれない。

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