虐待が発生した福祉事業所において、
①虐待をした職員への対応
②虐待を受けたご利用者様やそのご家族への対応
③再発防止策
この3点が主に行われ、その事業所は引き続き事業を継続しているケースが多く見られる。
普通に考えれば、虐待がおきれば、その事業所自体存続が困難となるのではと思うのだが、実際はそうではない。
その点もしかして根本的に福祉事業所は、虐待に対するリスクをそこまで重く受け止めていないのではないかと感じてしまう。
なぜなら、虐待がおきても即事業停止・廃止といったところまで至らないケースがほとんどだからだ。
通常のサービス業であれば、少しでも不祥事が発覚すれば、お客様は一気にいなくなり、事業継続が困難になる。
しかし、福祉業界には、そのような危機意識が非常に希薄なのではないだろうか。
「措置から契約」になり、福祉業界はご利用者様から選ばれる立場となった。
その意味において言えば、虐待の発生した事業所となれば、当然ご利用者様は他の事業所にうつり、その事業所は継続できなくなる。
人の命にかかわる業界なのだから本来はどの業界よりもシビアに選択されなければならないサービスのはずが、なぜ実際はそうなっていないのだろうか。
それは、福祉という世界がまだまだ閉ざされた中で覆い隠されているからだ。
また、社会保障のインフラの側面が強いため、サービス業としてのシビアな考え方を浸透させることに福祉業界自体が抵抗を示している。
福祉は確かにインフラとしての側面がある。そのサービスがなければ生活が成り立たない人を支える役割は必須だ。
しかし、だからといってサービス業としてのシビアな考え方まで持ち込む必要がないということは言えない。
むしろ、人の命にかかわる仕事だからこそ、サービス業としてのシビアな考え方が必要になる。
それは、根本的にご利用者様の立場に立って支援を提供するという姿勢である。