サービス業としてご利用者様目線、お客様目線のサービスを提供するためには、大前提として、チームの連携が欠かせないものとなる。
これは、ただ単に、「仲良し集団」をつくることではない。
それぞれが連携・協力し合いながら仕事に取り組む姿勢が求められる。
チーム戦なのだ。
先手を常に想定しながらチーム間で互いに補い合いながら仕事を進めていかなければならない。
そこには、チームが目指すべき目標が明確に定められていることが必要だ。
その目標に向かって、自分たちはどういう動きをしたらよいかを常に意識しながら仕事に取り組むのである。
これが、誰か一人でも、目標から外れた動きをしてしまうと、途端にサービス業は成り立たなくなってしまう。
さらに、そもそもチームが目指すべき目標が明確でなければ、一体どこに向かえばよいのか不明確となってしまい、それぞれが全く統一感のない動きになってしまう。
実は、福祉業界に多いのは、この後者である。
一体どれほどの福祉事業所内のチームで、この目標を明確に掲げられているだろうか。
この目標を明確に掲げ、チームが一丸となってゴールに向かって突き進むようなチームであれば、虐待や不適切なケアはおきないのではないだろうか。
虐待や不適切なケアがおきてしまうのは、明らかに目標から外れた行為であったり、そもそもチーム内の目標が明確でなく、それぞれが統一感のない仕事となっていることが原因である。
そのことを考えた時に、福祉業界では、そもそもチーム内の目標が明確でなく、かつ目標が周知しきれていないパターンが多数のように思われる。
それでは、①一体どのような目標を設定するべきか、そして②どのようにその目標を浸透させていくのかということが課題として挙げられる。
①どのような目標を設定するべきか
まず、目標設定についてであるが、これは、各事業所にはそもそも設立の経緯が必ず存在する。
まずは、自分たちの事業所がなぜ設立したのかという経緯を知るところからはじめることを提案する。
その部分を調べるだけで、自分たちの事業所に対する思いが、より強く感じられるようになってくる。
そこから、自分たちはどのような目標を設定したらよいのかを、チーム全体で熟議して決めていくのである。
チーム全体で目標を設定することで、目標が自分のこととして捉えられるようになる。
②どのようにその目標を浸透させていくのか
次に、目標を浸透させる方法であるが、これはまさしくさきほど説明したように、チーム全体で目標を設定するための会議をもつことである。
そのことで、目標が設定された時点でチーム内にすでに浸透されていることになる。
目標が、チーム内で徐々にぐらつきを見せるようになった場合、あらためてチーム会議を行い、目標を再設定するのである。
目標が薄れてくることには、①内容がすでに到達しきった場合と、②チーム内の連携に乱れが生じ、目標が危うくなる場合と、③目標自体が形骸化してしまう場合の3パターンが考えられる。
①内容がすでに到達しきった場合
この場合は、あらためてチーム会議を行い、目標を再設定することで、再び連携を取り戻すことが出来る。
②チーム内の連携に乱れが生じ、目標が危うくなる場合
この場合は、チーム内の連携に乱れを生じさせているスタッフの問題を解決しなければならない。しかし、そのスタッフだけをケアするのではなく、チーム全体をケアしなければ不公平感を生む。
そのようなことがないように、チーム全体をケアしなければならない。全員に個別カウンセリングを実施するなどして、公平にケアを行う中で乱れの原因を修復していくことを提案する。
③目標自体が形骸化してしまう場合
この場合は、チーム全体会議と、スタッフ個別カウンセリングの両方が必要だ。
まず、個別カウンセリングによって、現状のスタッフの意識を確認しなければならない。そのうえで、チーム全体会議を行い、目標設定の意義や、目標の中身について、再検討が必要となる。
以上のようなプロセスをしっかり取り組むことで、サービス業としての下地が築き上げられることになる。
チームが盤石でなければ、よりよいサービス業にはつながらないのである。