以前、わたしは、重度の障害のある方の支援をする仕事に就いていました。
そこでわたしは、いかに支援する側の考え方が支援を受ける側の視点に立てていないかということを学びました。
重度の障がいのある方の支援をする時に、一番見落としがちな点と言えます。
そこで、ご利用者様の思いを理解するために様々な方法が試みられました。
しかし、それらの方法を通して一番苦しい思いをしているのは、ご利用者様です。
ご利用者様には、ご利用者様の考えがすでにあります。それを受け取るためにご利用者様を余計に苦しめる方法を支援者はとっていませんか。
ご利用者様にとっては、自分たちの考えをうまく受け取ることのできない支援者の方が障がいとなっているのです。
支援者は、しばしば自分たちが支援している立場として、ご利用者様よりも上の立場にいると間違って捉えがちです。
ご利用者様は、必ず支援者に向けて思いを主張しています。その主張を受け取るために、支援者は、ご利用者様に負担をかけてはなりません。
支援者に求められるスキルは、ご利用者様の思いに気づける感覚です。
その感覚を磨くためにも、ご利用者様のことを普段からよく知ろうと心掛けなければなりません。
大事なのは、科学的根拠ではなく物語です。
どんな細かいことでも鋭くご利用者様の思いを受け取る洞察力を磨く必要があります。
また、ご利用者様は、当然のことながら職員一人一人に対する表明の仕方を変えてきます。
わたしたちが他者とかかわる時と同じように、当然誰に対しても同じ対応はしません。
支援者は、しばしばそこを忘れがちです。
だから、職員一人一人が異なるご利用者様像を持っていることになります。
ご利用者様とかかわる人の意見を相対的、総合的に考慮しながら、捉える必要があるのです。