自分の介護を考える時に、本当は介護を受けることなく暮らしたいと思っているのに、老化や病気などで介護が必要になった時に仕方なく必要に迫られて介護を受けるというパターンがほとんどのように思う。
しかし、本来介護の問題は老化や病気になる前に考えておくべきことだ。
自分のケアは自分でしたい。
自分に介護が必要になった時、どう立ち振る舞いたいのかを真剣に考えておかなければならない。
例えば、自分に子どもがいて将来自分に介護が必要になった時、その子どもに自分の介護を任せたいか・・・。
実はこの問いは、多くの人が見て見ぬふりをしているように思う。
いざという時、子どもを頼りにすることは、本質的に親としての役割を無視するものである。
親は、子どもの自立を望むのが本来の姿だ。
親離れ、子離れという言葉が示すように、親と子は、互いに自立を目指すのが道理だ。
なぜなら、互いに寄りかかり、依存関係でいる限り、子孫繁栄に影響を与えるからだ。
考えてみてほしい。自分の子どもがいつまで経っても親元を離れず依存している状況で、新しい家族などつくれるわけがない。
子どもは親元を離れたら基本的には親の面倒など考える必要はないのだ。
そんなことまで考えていては新しい家庭をつくることなど到底できない。
親の面倒を最期までみたいと思うのであれば、その子どもは新しい家族をつくることはできない。
親の面倒をみながら新しい家族もつくるのは必ず無理が生じる。
家族関係でおきる問題の多くは、実は本質的に言えばこの親子関係の課題をクリアできていないことにある。
親離れ、子離れがきちんとできていれば、嫁姑問題や親の介護問題はおきない。
どこかで依存関係が続いていることが、家族関係の問題を引き起こしている。
親の問題は親自身の問題であって子どもの問題ではない。
子どもの問題は子ども自身の問題であって親の問題ではない。
そこを互いに干渉してはならない。
そうであれば、親の介護の問題は親自身が自分で考えなければならないことだ。
もちろん、子ども自身も自らの介護の問題は自分で考えなければならない。
その基本に立ち返りながら日々の介護をもう一度見直してみると一人一人の人生が粒立ってくる。
介護は一人一人が自ら自分自身の介護を考えなければならない。
それこそが、自分自身を大切に生きることなのだ。